連続:サラリーマン生活物語(その10ー1)

2015年  21日 11:57
何故かその老人は小説を書こうと思い立った。過ごして来た年月の中のふと夢か現か判らない出来事をそうだ小説にしよう。タイトルは? 「老人と○」・・「老人と海」ってあったよな。イメージが少し違うな。そうだタイトルは兎も角ひとりの善良な男がある出来事を機に荒波に翻弄されながら力強く立ち向かって行く・・・そして最後は幸せな人生だったと振り返る、うんこれで行こう。主人公は「私」で行こう。これからの話は小説だからね

ある朝突然大洋鋼材の社長が喫茶店に来ているので会って欲しいと原料チームの佐藤リーダーから依頼があった。大洋鋼材は竹内商店も絡んだ中古材の仕入先である。「何で事務所に来ないんだ、何の話か知ってるのか」「私も判りません」の会話から始まった一連の不祥事。
社長から聞いた話を要約すると、当社と大洋鋼材(大坂)、大倉商事(名古屋)、日商(名古屋)、住友商事(大坂)が行っていた中古材の架空取引が行き詰ってしまい手の打ち様が無くなった為相談に来たとの事、寝耳に水の話に佐藤君に「君は架空取引と知っていたのか」「私も知りませんでした」 社長に言わせれば佐藤は当然知っており部長も了解済みの事と理解していたようだ。冗談じゃない。
取り敢えず内容の確認の為関係者に集まって貰い、色々と聴取した中で判明した事を纏めると下記の通りとなる。
.中古材の取引は4〜5年位前から当社も行っていたが、実際には竹内商店がGCと交渉して当社が窓口で契約するシステムであり流通の中にそのGCに強い別の商社が絡むことは多々あっていた。この流れは当然私にも判っていたが、要は実際の営業は全て竹内社長が行い(流通には絡まずマージン制)マージンは当社が支払う為、全ての取引は当社経由となっていた。
.今回の架空取引は1年程前から物件契約減少に伴い、景気が好転する迄の繋ぎとして中古材現物は大坂の倉庫に保管したままで伝票だけを売上として回して行こうと、関係した全員が承知していた。
.日商は部長、他社は副部長課長クラスで良く会議をしていたが、私が会議に参加する事は「中古材の事は判らないでしょう、任せて下さい」と佐藤君に言われ強硬に参加するまでになっていなかった。(言い訳になるが佐藤君は私が名古屋に赴任して来た以前から原料課の課長でありベテランでもあった為任せた所があったのは事実)
.結果的に中々景気好転せず、取引を継続している間に手に負えない金額になってしまったのが事実で、品物も無い全くの架空取引も同時進行していたようだ。
.当社内部の話としても支店全体の売上が不足すると、鷲尾支店長自らが佐藤君に直接売上が上がるものは無いのかと督促する事もあったようで、当社の依頼が基で取引量が増えた事もあったらしい。
.確かに余りにも売上が上がる時は佐藤君に幾度となく、こんなに中古材の需要はあるのかと確認はしていたが、疑う余地のない回答と支店長の了解を得ている点を暗に匂わせており、相手が住友商事とか日商でもあり変な取引とは全く考えなかったのも事実である。(担当女子事務員へこっそり確認した事もあったが、ベテランであったにも関わらず何故か(今は判明している)「良く判りません」との回答であった)
.佐藤君は最後迄知らなかったとの発言を続けていた、但し私の推測では当然知っていたと思う、しかし相手との交渉においては知らなかった事で通す方が有利と判断していた。私の落ち度として部長印(契約書に使用可)を常に机の上に置いていた事と部下を信用していた事もあって不在時押印する事に暗黙の了解を出していたのも事実である。(続く)

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