私の生涯日誌 その102

2016年  19日 08:12
中部鋼鈑の白木部長はいつもニコニコしている物静かな喋り方の、好好爺って感じの方だった。この話し合いは私のプライドもかかった天下分け目の話し合いとなった。

午後一番から経緯を全て説明し 「悪い事はしませんから黙って白紙の注文書を下さい」「そんな事は出来ませんよ勝手に出したら首になりますよ」「そんなに堅苦しく考えず相手に見せるだけですから」「意味は判るけれど公式文書ですから」「これは会社対会社の話では無く、私と白木部長との個人的な話です。私を信用して戴きたい」「そうは言ってもね」「信用出来ないなら、この注文書はこの目的だけに使用するメモみたいなもので効力は無いとの一筆を書きます」「そこ迄せんでもいいよ」「だったら私を信頼して下さい、価格も必ず下げて御社のプラスになる様にします」

就業時間は過ぎて、辺は薄暗くなり周囲では退社を始めた人もいる。上記の内容の言葉を手を変え品を変えて喋りまくったんだ。最後は根負けしたのか私の真意を汲み取ってくれたのか「今回だけです」と単価、金額が未記入の注文書を出してくれたんだ。

早速大阪の日本刃物の岸下次長にこの注文書を提示した。次長は注文書をじっくりと見た上で、テーブルに両手を付いて深々と頭を下げた。

約束通り何も言わずに、中部鋼鈑にも満足出来る価格を提示してくれた。結局中部鋼鈑に納めていたメーカーには、日本刃物が同じ位の量を納入していたユーザーを、そのメーカーに譲って侘びを入れたそうである。

その後岸下次長との取引や付き合いは順調だったね。大阪に行ったらストリップ劇場とかに招待してくれたな、だけど私はそんなに好きそうな顔をしていたのかなぁ。

一言付け加えておくけれど、私は白木部長とそれ迄一度も飲みに行った事は無かったし、この後に飲みに行く事も無かった。全てはお互いの信頼の中でなし得た取引だったんだ。白木部長の勇気には今も感謝している。

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実家の縁側でホッと一息母と兄貴達と妻。    家族で山口へ、皆大きくなった。

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